兼 平
● 能

木曽の僧が義仲を弔うために旅に出ました。その途中、矢橋の浦で老船頭が小船を漕いでやってきたので、僧は途中まで乗せてもらえないか頼みました。老人は僧に舟で名所を案内しながら粟津に向かいますが、目的地に着く頃には何故か姿を消してしまいました。

僧は地元の渡し守の話から老人が兼平の霊だと気付き、夜になってからしみじみと思い出していると、甲冑姿の兼平が現れ、僧の目の前で、義仲の最期と自分の最期を再現し、自分の供養より義仲の供養をして欲しいと訴えて消えていくのでした…。  
初出/木曽義仲の基礎知識 別冊「古典芸能」

内容は「巴」と対の様な作品ですが、こちらには船という小道具が出てくるので前半のイメージはだいぶ違います。
また、兼平の面が憂いを含んで大変美しく見えるのは西の贔屓目でしょうか。公演頻度はそれほど高くありませんので、観劇のチャンスはお見逃しなく。


木曽義仲の基礎知識/kaori-nishikawa1996