木 曽 願 書
● 能

 倶利伽羅合戦の前日。義仲が越中埴生に陣をとっていたとき、偶然源氏ゆかりの八幡社を見つけました。
「戦を前に縁起がいい」と義仲は喜び、大夫坊覚明に勝利を祈願する願書を書かせ、読み上げさせました。
そのすばらしい文に皆聞き惚れ、義仲は自分の背に負った矢を抜き出して、共に奉納させました。
その時、地元の人々が義仲軍の門出を祝って酒を持ってきたので酒宴になりました。義仲は覚明に酌をさせ、「八幡の宮の神風に敵は木の葉と散りぬべし…」と舞わせました。

すると八幡社の方から山鳩が味方の旗手に飛んできたので、
「神が私の願いを聞き入れてくれた証だ」と義仲をはじめ、軍兵は鳩を拝みました。
義仲軍は倶利伽羅合戦に勝利しましたが、それは八幡社の神力なのです。

初出/木曽義仲の基礎知識 別冊「古典芸能」

この内容は元禄時代以降のもので、それ以前は義仲が覚明に願書書かせ、それを自分で読み上げ、兼平が来る戦いの 様子を演じ、覚明の舞いはなかったそうです。うーむそれも見てみたい気がしますが、現行の演目ですら公演がまれです。
公演をキャッチしたらお見逃しなく!!


木曽義仲の基礎知識/kaori-nishikawa1996