歴史学リスキリング
すっかり流行語なので「リスキリング」を使ってみましたが、これって実用的な内容に関する再学習なんでしょうか?
歴史学は必要な学問ですが実用というとどうかな。あまり「今生きている人にすぐ役立つ!」みたいな歴史事象・人物のとらえ方はおすすめではない(大意)…と「史学概論」で遅塚先生がおっしゃっています。そのあたりはまた、このカテゴリの中でご紹介していきたいと思います。
簡単に言うと、50すぎの手習いとして歴史学を再度学習しようと思い立ち、一人ではさぼりがちなので、その過程をこのカテゴリで紹介していくという感じです。全般的な復習を考えていますが、近代はやるかなどうかな…そこまで行けるといいですね…
どうして今、歴史学リスキリングなのか
私は木曽義仲の周辺の院政期~鎌倉初期については、調べ続けていましたし、仕事の関係で限定的な時代と地域について調べ直したことはあります。しかし通史は短大時代に学んだところで止まっています。
昨今の歴史の話題を見ている中で「私が学んできた歴史はどこかで塗り替わっているのでは…?」という疑問を感じ、再度通史的に学び直したいと強く感じたことがきっかけでした。そして少し学び直し始めた時点で、今50歳以上の方は、当時と今では歴史学の概念自体が変化しているので、リスキリングを強くお勧めしたいと思ったからです。
再履修の方法
「歴史を再度学習する」と言った場合、どのような方法を考えますか?
本を読む、動画を探して勉強になりそうなものを見る、カルチャーセンターに行く、大学の公開講座に参加する、いっそ大学に再入学する‥などなど、予算と目的によって様々な取り組み方法があるでしょう。
そのような中で、最も基本となりどんな方法をとるとしても欠かせないものは何でしょうか?
それは「中学校レベルの歴史の知識」と私は考えます
日本の歴史教育では(他の国がどうかは知らないですが)、何回も繰り返すことで知識を定着させるという方法をとっています。全く知らない難しい内容をおぼえるより、なんらかのとっかかりが脳にあると、覚えやすいからなのではないかなと思います。
小学校…偉人のエピソードから歴史に親しませる
↓
中学校…網羅的に日本史・世界史に触れる
↓
高校…さらに踏み込んだ内容を、日本史・世界史に分けて学ばせる
つまり、通史的な内容で最も基本となるのが中学校の歴史学習なのです。
私は中学校で社会科教諭の経験がありますが、初任者研修の際に担当教諭から「暗記ではなく、流れをとらえさせろ」と指導されました。その際に「太文字を覚えればいい~」のノリで見ていた教科書を読みなおしました。その中で、「あれっ…教科書ってこんなに深かったんだ…」と発見しました。中学生に伝わるやさしい文章なのに、そこに含まれている内容がとても濃いのです。また、日本人として知っておいてほしい歴史事象がもれなく書かれています。
高校の日本史の教科書で学び直して特に重要な部分を抜き書きしてまとめると、中学校の教科書になります。言うなれば、高度な歴史学に触れるための絶対必要最低限の内容がまとまっている上に、地図・遺物の写真・わかりやすい図などがちりばめられている、最高のリスキリング教材なのです。しかも、文章が読みやすい。難しい表現がなく、するする読めます。
絶対必要最低限の知識が定着し「流れをとらえ」ていると、当然ながら難しい本に取り組んだ時、知識が理解を助けてくれます。
昔は中学校の歴史の教科書を買うのは扱っている書店を探すところから大変でした。しかし今はネットで簡単に買うことができます。難しい本に取り組む前に、まず中学校の教科書を読んでみて下さい。